第1回(令和元年)映画コンペティション 受賞結果発表








第十二回オホーツク網走フィルム・フェスティバル(略して、網走映画祭)における第一回映画コンペ講評

審査員長 伊藤俊也

 

 全国各地で映画祭が催され、またそれに伴ってコンペの数も多い昨今、十二回という実績は重ねたものの、この網走映画祭に、はたしてどれだけの応募があるのか、しかも20分という時間を境にして短編部門と中長編部門の二部門に分け、しかもその両部門についてそれぞれにすぐれた作品を表彰しようという国際映画祭並みの気宇壮大な試みであっただけに、映画祭事務局はもとより委嘱を受けた審査員にとっても大いなる気懸りであったが、全部で68作品の出品があったという結果を見れば、まさに杞憂であったというべきだろう。特に中長編部門に44作品の応募があったことは驚くべきことであった。(正直、審査委員にとっては、全部に目を通すことが一苦労であった。)

 しかし、それが数に相応して、多様性に富むすぐれた作品が揃ったということでもあった。入賞5作品のところ、6作品が選ばれたことでも、その一つの証と云えよう。この6作品については全審査員が何らかの美点を認めたということでもある。

 また、短編部門については、他の映画祭のコンペもほとんど短編に限られているので、分散したのか、中長編に比べては数も24作品と少なく、質の厚みでいえば多少物足りなかったというのが正直なところだ。5作品を入賞とした。これも全審査員の異論のないところであった。

 では、先ず、中長編部門の三賞から、

「北斗七星賞」(ビッグ・ディッパー)[最優秀賞、いわゆるグランプリだ。カンヌのパルム・ドールのように、ビッグ・ディッパー(大きな柄杓・つまりは英語でいう北斗七星)を通り名にしてほしい]「いつくしみふかき」については、作者たちは、古い因果話にも陥りかねない素材から出発しながら、結果、父と息子の葛藤と対立という永遠のテーマへと見事に昇華させたと言える。そのためには、息子と父、それぞれの造形の工夫と共に、母の弟である叔父や教会の神父について通り一遍でない人物像を作り出したこと、同時に映画の持つ大衆性を大枠として堅持しようとする志が見て取れたこと、それが一つの格調を為したことが評価された。

「ニポネ賞」【優秀賞、いわゆる準グランプリ、網走市民賞のニュアンスも込めてご当地キャラのニポネとした]「ミは未来のミ」は卒業間近の高校生仲間5人のグループの一人が突然交通事故死してしまったことから生じた、彼らなりの、弔いの形に工夫が凝らされ、いかにも今どきの青春ものとして活写されたところを評価したものである。それは、河原で、死者の残したポルノ雑誌やビデオなど親には見られたくない云わば負の遺産ともいうべきものを秘かに彼の部屋から持ち出して燃やすことであった。

「極寒賞」[この賞は、必ずしも上記二賞に続く第三席というものではない。作品が優れているとか優れていないとかの常識的な範疇をいわば超えた地点で、見る者の背筋を凍らせるまでに、ショッキングというか前人未踏というか、新しい世界を切り開いてほしいという願望を込めて設けられた賞であり、ゆくゆくは最も晴れがましい賞として、網走の極寒賞が欲しいと全応募者に云わせたい]「轟音」は、「ミは未来のミ」とは対照的に現代の青春の負の部分に執着し、暴力の在り処を探ろうとした力作である。二つの物語の進行がやがて交差する地点に伴うものもまた暴力である。主人公に付きまとう不幸の響き、轟音。その先に果して未来はあるのか。ある種の寒々とした心象風景を強いる「轟音」の映像世界はまさにこの賞に値する。

 次に、短編部門。

「北斗七星賞」は該当作なし。

「ニポネ賞」に、AYESHA。これは、素朴ながら独特な筆致によるアニメーション。ある星から飛び立った女性宇宙飛行士が宇宙空間を漂い、やがて死に、遂にはある星に落下して粉々になるが、そこから命が生まれ・・・地球の誕生物語というわけである。常識的な思考の順序を逆転させる(「猿の惑星」もそうであった)ファンタジーであるところが面白い。

「極寒賞」「高畠失格」は、株式会社高畠の入社試験に臨む高畠聰が主人公だが、会社側の試験官たちもすべて高畠聰という具合で、どんな質問にも高畠のためにとか、高畠を連呼していれば合格間違いなし、といったところで一言余計な、別種の高畠というニュアンスの言葉を発したばかりに、どんどん追い詰められ失格という結果に至るという笑劇である。

バカバカしさここに極まれり、という作品だが、些細な異分子も許さぬ共同社会の怖さをも的にしていると言えなくもない。オーバーに褒め上げれば、チャップリンの「モダンタイムズ」とはまた別の形の・・・いや、「沸騰賞」ではないのだから、この辺でやめよう。

以上





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網走番外地
『網走番外地』
1965年/石井輝男監督
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『男はつらいよ 寅次郎忘れな草』
1973年/山田洋次監督
主演:渥美清
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幸福の黄色いハンカチ
『幸福の黄色いハンカチ』
1977年/山田洋次監督
主演:高倉健
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子ぎつねヘレン
『子ぎつねヘレン』
2006年/河野圭太監督
主演:大沢たかお
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遠くの空に消えた
『遠くの空に消えた』
2007年/行定勲監督
主演:神木隆之介
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